農作物にバランスの良い有機栄養素を吸収させるには、まず土壌と肥料を改善する必要があります。キャロット村では、化学肥料の無機栄養ではなく、土壌の中にいる微生物の発酵作用で作られる栄養素を農作物に吸収させることが重要と考え、米糠、油かす、骨粉、カニガラなどの有機質肥料をコウジ菌、納豆菌、乳酸菌、酵母菌で三段階発酵させて作った肥料を利用しています。
土壌の微生物は菌体細胞から土壌中に酵素や有機酸を分泌し、体に毒性のある、鉄、クロム、砒素といった重金属ミネラルを酵素に包みこんだり、アミノ酸などの有機酸が金属イオンを挟み込み無害化して吸収してしまう力も持ちます。
こうした方法により、有機ミネラル化合物、アミノ酸、脂肪酸、単糖類、ビタミン、核酸、有機酸、ホルモンを全部揃えて農作物に吸収させることが可能というわけです。一般的な有機農業では単に有機肥料を与えているだけで、肥料は発酵していないのです。
キャロット村では酵素を利用することにより土壌を腐敗させることなく発酵させ、土壌に含まれている有機物を作物が吸収しやすい有用な無機質へと変える土壌作りを長年研究しているそうです。そして新たに、有機物の宝庫である人糞・生ゴミ・家畜の糞などに複数の菌などを加えさらに酸素(空気)を与え続けることにより、非常に有用な酵素群を取り出すことに成功したとのこと。今年からはこれを土壌に加え、成長を見守ってくということです。この秋には一部ですがこの方法で栽培したものが新たに収穫されるそうです。
村長の荒井さんの話では、にんじんジュースを使った免疫療法で末期ガンから生還された方のほか、再発をご心配されている方やそのご家族の方々、そして今現在も免疫療法でガンと闘っていらっしゃる多くの患者さんを中心にキャロット村の発酵土壌で育てた栄養価の高い無農薬にんじんの話が広がり、これまでもずいぶんとたくさんのにんじんをわけたそうです。
全国各地で発酵土壌での無農薬栽培に賛同している農家の協力で対応しており、ゆくゆくは非常に有用な酵素群をできるだけ多くの畑や田んぼで使用していただこうと計画しているとのこと。